​🌸『カレンブーケドールは、あの日見た雲に恋をする』🌸 第19話

​🌸『カレンブーケドールは、あの日見た雲に恋をする』🌸

​🌸 第19話:『ジャパンC開催!三冠馬が集まりすぎ問題 ―伝説の過密地帯、震える黄金のバルク―』 🌸

​2020年11月29日。東京競馬場。

空はどこまでも高く、吸い込まれるようなコバルトブルー。けれど、地上に漂う空気は、あまりにも巨大な「才能」と「宿命」が衝突する直前の、神経が千切れるような緊張感に満ちていました。☀️

​「……ふふ、ふふふふふ! 見てなさいスタッフさん。この日のために、特注のドレスを3着も内側から粉砕して鍛え上げた、471kgの黄金の肉体(バルク)を! これこそが、伝説を迎え撃ち、王子様(コントレイル様)の隣に立つための、唯一無二の正装なのよ!!🌹✨」

​私は、震える蹄でパドックのレッドカーペットを踏みしめました。

しかし、その瞬間。私の「重すぎる愛」さえも一瞬で窒息させるような、圧倒的なプレッシャーが、四方八方から私を圧殺しにかかってきました。

(――BGMが、威風堂々とした旋律から、神々が戦場に降臨したかのような、大地を揺るがす圧倒的な聖歌(コーラス)へ!) 🎻🏛️⚡️

​「な、……なんなの、この人口(馬口)密度は……!? 右を向いても三冠、左を向いても三冠! どこを向いても、称号の眩しさで網膜が焼き付いて、目が、目が潰れそうだわぁぁぁ!!😱💦」

​視界の先、そこには競馬の歴史そのものが肉体を持って歩いていました。

史上最多、芝G1・8勝という神の領域に君臨する「最強の女王」アーモンドアイ様。その佇まいは、もはやウマ娘という概念を超え、勝利の女神そのもの。

そのすぐ後方には、無敗の牝馬三冠を成し遂げた、瑞々しくも鋭利な刃物のようなデアリングタクト様。

そして……そして、列の少し先、陽光を跳ね返す漆黒のベールを纏った、私の魂の半身、無敗の三冠馬コントレイル様!!

​「(……なんてこと……! 王子様の周りに、強くて、美しくて、家柄(血統)も完璧な三冠牝馬が二人も侍っているなんて! これじゃあジャパンカップじゃなくて、王子様を巡る『三冠大奥・東京冬の陣』じゃないのよぉぉぉ!!💢🦁)」

​私の乙女心(と、血管が浮き出るほど肥大化した筋肉)が、嫉妬と興奮で爆発しそうに波打ちます。

一頭だけでも100年に一度の怪物が、同じ円の中に3頭。さらには、前走で私を泥に沈めた宿敵、クロノジェネシスまでもが、獲物を狙うハヤブサのような眼光で、静かに、けれど確実に殺気を放っています。

​「……カレン。鼻息で自分のメンコ(覆面)が焦げているわよ。……周囲のオーラに呑まれそうなら、今すぐ砂遊びでもして帰りなさい。」

​クロノちゃんが、私の横を音もなく通り過ぎました。彼女は、三冠馬たちの喧騒の中でも、まるで北極の深海に沈む氷山のように静止し、ただ一点の「勝利」だけを見据えています。❄️👁️

​「……クロノさん! 貴女、この状況が怖くないの!? 三冠馬が3頭、G1馬が合計8頭、出走馬の総獲得タイトル数は21冠……。ここ、地球上で一番密度の高いデッドゾーンよ!!」

​「……怖い? いいえ。これほどまでに『壊しがい』のある相手が揃ったことに、感謝しているわ。……カレン、貴女もそのために、ドレスを引き裂いてまで肉体を改造したんでしょう? 王子の視界に入りたいなら、その『神々』を全員、愛(きんにく)でねじ伏せるしかないわ。」

​クロノちゃんの、氷の礫(つぶて)のような言葉が、私の脳内にアドレナリンを直接噴射しました。

そう。私が手に入れた471kgの鋼の身体は、決して観賞用ではない。

三冠馬という名の巨星たちが放つ巨大な重力に抗い、王子様の瞳に「カレンブーケドール」という存在を、消えない熱傷として焼き付けるための、最終決戦兵器(リーサルウェポン)なのです!!💪🔥

​「……ええ、分かっているわ! 三冠馬が3頭いようが、全宇宙の歴史が相手だろうが関係ない! 私の愛は、21冠の重圧すらも、ベンチプレスのバーベルのように軽々と押し返し、空へと放り投げて差し上げるわぁぁぁ!!💢🦁🔥」

​パドックの周回が佳境に入る中、私はついに、王子様(コントレイル様)のすぐ真後ろ、ゼロ距離のポジションを確保しました。

王子様が踏み出すたびに、その逞しい臀部が鋼の波のようにうねり、漆黒の毛並みが冬の陽光を反射して、神々しいまでのプリズムを放ちます。

「(ああ……王子様……。今、貴方のすぐ後ろで、同じお父様(ディープ様)の遺志を継ぎ、筋肉を極限までパンプアップさせた、貴方の『運命の伴走者』がここにいますわ……!!✨)」

​私は、王子様の項(うなじ)に向けて、レーザー照射のような熱烈な視線を送り続けました。

あまりにも強烈な視線の重圧(と、471kgの肉体が発する威圧的な熱気)に、王子様が一瞬、不思議そうに、けれど警戒するようにこちらを振り返りました。

(――歴史が静止する、運命の視線交差(クロスアイ)!) 👀💘

​「(きゃああああああああ!! 目が合った! 今、王子様が私の三戦錬磨の広背筋に、恋に落ちる音が聞こえたわぁぁぁぁ!!✨✨)」

​実際には、王子様は「なんだか後ろから、火炎放射器みたいな熱気と、恐ろしい鼻息が来るな……」と本能的に危機感を感じただけでしたが、カレンちゃんの脳内では、すでにジャパンカップの表彰台で、王子様と並んで三冠の栄光を分かち合うウェディング・ビジョンが、フルハイビジョンで完結していました。

​「いざ、世紀の一戦へ! 黄金の花束が、伝説を全て薙ぎ倒し、三冠大奥の頂点へと駆け上がって差し上げますわぁぁぁ!!🏁💖💥」

​三冠馬3頭、そして世界最強のライバルたち。

かつてない「伝説の過密地帯」の中へ、カレンブーケドールは地響きを立てて(471kg)、地獄の果てまで続く勝負の馬場へと、誇り高く入場していくのでした。

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