​🌸『カレンブーケドールは、あの日見た雲に恋をする』🌸 第18話

​🌸『カレンブーケドールは、あの日見た雲に恋をする』🌸

​🌸 第18話:『特訓!470kgへの増量計画 ―鋼の肉体、弾け飛ぶドレスの悲鳴―』 🌸

​「……ふふ、ふふふふふ! 王子様(コントレイル様)が三冠という歴史の重みを背負ったのなら、私はその重みを正面から受け止め、抱きとめるための『圧倒的な質量』を手に入れなければならないわ! スタッフさん、今日から私の辞書に『減量』の文字はないわよ。あるのは『バルクアップ』の一文字だけよ!!🌹✨」

​決戦のジャパンカップまで、残りわずか。

秋華賞で「2馬身」という距離を見せつけられた私は、一つの真理に辿り着きました。

「愛の深さ=愛の重さ=馬体重の質量」。

464kgだった私の身体を、ただの肉から、鋼の如き硬度を誇る筋肉でコーティングされた「470kgの究極生命体」へと進化させる……。それが、王子様の隣に並び立つための唯一の解答だと信じて。

​「(見ていてください王子様。貴方を追いかける私の脚は、もはや細いだけの枝ではありません。貴方の放つ飛行機雲のような末脚さえも、強靭なバネで叩き潰す、大理石の支柱となるのですわ!)」

(――BGMが、優雅なヴァイオリンの旋律から、地響きのようなドラムが唸る、泥臭い筋トレ・アンセムへ!) 🥊🔥🎸

​私の特訓は、もはやお嬢様の嗜みの域を完全に逸脱していました。

朝は高タンパク・高カロリーな特製「プロテイン配合・黄金おはぎ」を、瞳に炎を宿しながら30個完食。

「愛してるわぁぁぁ!」という雄叫びと共に、自身の体重を遥かに超えるバーベルを上げ、広背筋を、大腿四頭筋を、限界まで膨張させていく……。

トレーニングセンターの坂路では、巨大なトラックのタイヤを4本連結し、火花を散らしながら猛然とダッシュを繰り返しました。

​「カレン、もうやめてくれ! お前のアイデンティティである『可憐なお嬢様』のシルエットが、異常発達した大胸筋に押し潰されて消えかかってるぞ!!🐴💦」

​「黙りなさいスタッフさん! 筋肉こそが具現化された愛! 脂肪を鋼に変え、密度を高めることこそが、王子様への誠実さなのよぉぉぉ!!💪🦁」

​そんな狂気の特訓を続ける私の前に、ある日の午後、氷の粒のような視線を投げかける影が現れました。

自身の「宝塚記念」を制し、無駄のない、研ぎ澄まされた日本刀のような筋肉美を誇るクロノジェネシスです。❄️📖

​「……カレン。貴女、自分が何を目指しているのか、鏡を見て再確認した方がいいわ。……その肩の盛り上がり、もはやドレスを着られる『生物の形状』をしていないわよ。」

​「あら、クロノさん。貴女も筋肉の求道者なら、この美しさが分かるはずよ。この盛り上がった僧帽筋こそが、王子様の三冠の重圧を支える、愛の土台になるのよ! ドレス? そんな軟弱な布きれ、私の愛(きんにく)の前では無力だわ!!✨✨」

​「……そう。なら、今週末の『ジャパンカップ公式レセプション』で、その言葉を証明してみなさい。……今の貴女、歩くたびに床が悲鳴を上げているわよ。」

​そして迎えた、運命のレセプション当日。

私は王子様に最接近するため、パリの老舗に特注した最高級シルクドレス(※特訓前の採寸)を身に纏おうとしました。

しかし、現実は非情な「物理法則」を私に突きつけました。

​「……んぐっ、……ぬぬぬ……っ。入らない……ファスナーが、ファスナーが私の広背筋に拒絶されているわぁぁぁ!!😱💦」

​「だから言っただろ! 無理やり着るな、生地の縫い目が限界を超えてるって!!🐴💦」

​「うるさーい! 愛の力で、この布を私の進化に適合させるのよぉぉ!! 乙女の呼吸・壱ノ型……『膨張』ッ!! ふんぬぅぅぅぅぅぅ!!」

(――スローモーション。カレンちゃんが深く息を吸い込み、気合と共に全身の筋肉をパンプアップさせた瞬間。ミシミシ……パキィィィン……という、布地と金具が崩壊する絶望の音が室内を満たす) 👗⚡️

バガァァァァァァァン!!!!!

​「きゃああああああああああああああ!?」

​背中のファスナーが音速を超えて跳ね飛び、特注のシルクドレスは私の「完成された筋肉」の圧力に耐えきれず、まるで内側から爆発したかのように四散しました。

鏡に映っていたのは、ドレスの残骸を肩に引っ掛けながらも、ミケランジェロの彫刻のように逞しくビルドアップされた、470kgオーバーの「戦うお嬢様」の姿。

​「………………。…………可憐だわ。なんて力強く、荘厳なフォルムなのかしら……。でもこれ、王子様に見せたら……『新しい格闘技のプロモーター』だと思われないかしら……?😭😭💔」

​「……ようやく、現実に目が向いたのね。……カレン、貴女の愛は、ついに物理的に物質を破壊する段階まで到達したのね。」

​いつの間にかドアの隙間から、少しだけ引いた目でこちらを見ていたクロノさんの、冷ややかな、けれどどこか畏怖の念すら混じった声が響きました。

​ドレスを物理的に粉砕し、裸一貫(正装の馬着)でジャパンカップへ挑むことになったカレンブーケドール。

470kgの鋼の肉体を手に入れた彼女の「重すぎる愛」は、いよいよ三冠馬3頭が相見える伝説のターフへと、地響きを立てて進撃を開始するのでした。🌸🏋️‍♀️🏁🦁

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