​🌹『メイケイエール様は止まらない!―白いシャドーロールの爆走お嬢様日記―』🐎💨  第35話

​🌹メイケイエール様は止まらない!暴走お嬢様日記🐎💨

​🐎 最終回(第35話):安平町、新しい命へのエール —受け継がれる爆走の美学— 🌸🍃

​数年後の春。北海道・安平町、ノーザンファーム。

かつて中京の坂を、中山の急坂を、そして太平洋を越えてアメリカの砂塵を切り裂いた「白いシャドーロールの女王」は、今、見渡す限りの緑の海の中にいました。

​現役時代の、あの触れれば切れるような緊張感は、北の大地の抱擁に溶け、お嬢様の馬体は母としての豊潤な優しさと、なお衰えない女王の威厳に満ち溢れています。

陽光を浴びて黄金色に輝く鹿毛。その美しさは、引退から月日が流れてもなお、牧場を訪れる人々を息を呑ませるほどでした。

​『……ふん。やはり、私の美しさを引き立てるのは、この広大な緑と果てしない青い空ですわね。騒がしい歓声も、泥を跳ね上げるライバルもいない……。でも、退屈だけは致しませんわ。ねぇ、貴方?』💅🌿

​お嬢様の視線の先には、彼女と同じ鮮やかな鹿毛のコートを纏い、そして驚くほどソックリな「真っ白な星」を額に宿した、一頭の小さな仔馬がいました。

その仔馬は、今まさに、母の制止を振り切るようにして、放牧地を縦横無尽に、ハチャメチャに駆け回っています。

その走り方は、まさに数年前、日本中を戦慄させ、熱狂の渦に叩き込んだ「あの爆走」の再来でした。

​「お母さん! お母さん見て! 止まらないよ! 風がボクの後ろで泣いてるよ!!」🚀🌪️

仔馬は、ブレーキの壊れた最新鋭のエンジンのように加速し、柵の際で危なっかしく、けれど軽やかにターンを決めます。あまりの勢いに、見守るスタッフたちが「おい、エールの仔だぞ、気をつけろ!」と冷や汗を流すほど。

「でもお母さん、どうしよう! 止まり方がわからないんだ! どうやったら止まれるのか教えて!!」

​お嬢様は、その「小さな嵐」の姿を、かつての自分を愛おしむような、慈愛に満ちた……そして少しだけ悪戯っぽい瞳で見つめました。

そして、現役時代には一度も見せなかったような、誇らしげで、不敵な、最高の微笑みを浮かべて答えたのです。

​『……おーっほっほっほ! 何を仰るの、我が子よ! 止まり方? そんな野暮なこと、全力で走り抜いてから考えなさいな!!』💅🌹✨

​『いいですか? 私たちはメイケイの一族。誰にも縛られず、誰の背中も見ず、ただ己の魂が望むままに世界の果てを切り裂くのが宿命(さだめ)ですの。止まることを恐れて、その煌めくスピードを殺してはなりませんわ。……さあ、私についてきなさい! 私たちの辞書に「制御」なんて言葉は不要ですのよ!!』

​お嬢様は、かつて池添謙一の魂を削り取ったあの力強い蹴り出しで、自らも爆走を開始しました!

母と子、二つの鹿毛の閃光が、安平町の放牧地を鮮烈なドラマの色に塗り替えていきます。

引退してもなお、その走りは「計測不能」な輝きを放っていました。

​「うわぁ! お母さん、やっぱり速い! 世界一だ!!」📢✨

『当然ですわ! 私は、あの天才たちを振り回し、全米のシステムを壊し、そして何より……日本中の皆様に愛された伝説の女王ですもの!』

​遠くでそれを見守るスタッフたちは、苦笑いしながらも、目頭を熱くしてその光景を眺めていました。

「……やっぱり、あの子の子供だな。また、とんでもない物語が始まりそうだ。……次は誰がこの仔の背中に乗るんだろうな。」

​お嬢様の物語は、ここで終わるわけではありません。

彼女が世界中に贈った「エール」は、新しい命の力強い鼓動となり、いつかまた、あの熱狂のターフへと、人々の夢と共に還っていく。

真っ白なシャドーロールを誇らしげに揺らし、誰の手にも負えない、けれど誰からも愛される、自由な風となって。

​『……さあ、次はどの雲を追い越しましょうかしら? 私の物語は、永遠に、未来永劫に「計不」ですわよ! おほほほほ!!』💅💎✨

​空高く響き渡る女王の艶やかな笑い声と、大地を揺らす力強い蹄音。

メイケイエール様。貴女がくれた勇気と、無茶苦茶な愛と、最高のエールを、私たちは一生、忘れません。

【メイケイエール物語 —完—】 🐾🏆🌸✨

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