​🌹『メイケイエール様は止まらない!―白いシャドーロールの爆走お嬢様日記―』🐎💨  第8話

​🌹メイケイエール様は止まらない!暴走お嬢様日記🐎💨

​🐎 第8話:【阪神JF】白い女王ソダシの背中 —初めて、自分以外の名前が響いた日— ❄️👑

​2020年12月13日。阪神競馬場、第11レース。

冬の冷たく澄んだ空気が、仁川のターフを厳かに包み込んでいた。

2歳牝馬の頂点を決める阪神ジュベナイルフィリーズ。スタンドを埋め尽くした観客(※制限付きながらも熱気は最高潮)の視線は、二つの「純白」に注がれていた。

​一つは、鼻筋に誇らしく輝く白いシャドーロール。無敗の3連勝、驚異のレコードホルダーとして降臨した「暴走お嬢様」メイケイエール様。✨

そしてもう一つは、その身に雪を纏ったかのような、幻想的な輝きを放つ奇跡の白毛女王、ソダシ。

​同じ「シラユキヒメ」の血を引きながら、太陽のように正しく、神々しい輝きを放つソダシに対し、エール様はどこまでも激しく、どこまでも危うい「漆黒の情熱」を内包していた。

​パドックに現れたエール様は、カメラのシャッター音を心地よい拍手と勘違いしたかのように、首を高く上げ、優雅に、しかし周囲を威圧するように歩く。🌹

『あら。あちらの白い方、ずいぶんと騒がれていますわね。でも宜しくて? 今日の主役は、光より速く、風より気高く駆け抜けるこの私。私の「後姿」を拝ませて差し上げますわ!』

​だが、彼女の背に跨る武豊は、かつてないほどの緊張感に支配されていた。

大外、8枠18番。

このお嬢様にとって、最も制御が困難で、最も「孤独」な特等席。

「エール、今日だけは頼む。……喧嘩じゃなくて、競馬をさせてくれ。」

天才の祈りは、不吉な予感を孕んだ冬の風に消えた。

​15時40分。運命のゲートが開き、18頭の少女たちが夢を追いかけて飛び出した。

――ガシャン!

​その瞬間、エール様の「理性」は再び粉砕された。🚀🌪️

12.4 – 10.8 – 11.7。

2歳牝馬の1600m戦としては、決して遅くない流れ。だが、お嬢様のプライドは、誰かの後ろを歩むことを断固として拒絶した。

​『何ですの、この緩慢なリズムは! 私は、もっと先へ、もっと自由になりたいんですのよ!!』

​3コーナー、4コーナー。

場内からは、悲鳴にも似たどよめきが沸き起こる。

エール様は、武豊が全体重をかけて制止するのをあざ笑うかのように、ハミを奪い、首を激しく上下させながら、大外から馬群を力ずくで飲み込みにかかった。

それは勝利への合理的な進路ではない。ただ「誰よりも前へ」という、あまりにも純粋で、あまりにも不器用な情熱の暴発だった。💨🌪️

​「っ……、エール! まだ早い! 我慢しろ!!」

豊さんの腕は、すでに極限まで引き絞られ、悲鳴を上げていた。

お嬢様は自慢の白いシャドーロールを天に向け、荒ぶる魂を爆発させながら、一人で別のレースをしているかのような勢いで先頭集団へ襲いかかる。

​直線。

阪神の外回り、長く、険しい心臓破りの坂。

道中で全てのエネルギーを使い果たしたはずのエール様は、それでも止まらなかった。

泥を浴び、酸素を求める悲鳴を上げる筋肉。それでも彼女は、必死に脚を伸ばす。

だが、その視線の先に――。

​神々しく輝く、ソダシの白い背中があった。❄️👑

​ソダシは、吉田隼人騎手のエスコートに完璧に応え、王者の走りでターフを支配していた。

サトノレイナスが、ユーバーレーベンが、極限の末脚で襲いかかる。

エール様も、魂を削りながらその差を詰めようとする。あと一完歩、あと一押し。

だが、無情にもゴール板が彼女たちの頭上を通り過ぎた。

​その瞬間、スタンドを揺らしたのは、エール様を称える声ではなかった。

「ソダシ!」「ソダシ!!」

自分以外の名前が、自分に向けられるはずだった喝采が、あの白い女王へと濁流のように注がれていく。

1着、ソダシ。 4着、メイケイエール。 💔

​タイム差、わずか0.2秒。

あれだけ暴走し、あれだけ距離をロスし、あれだけ人間と喧嘩しながら、なおもG1で4着に粘り込んだその根性は、まさに「怪物」の証明だった。

しかし、数字の上では、彼女は初めて「敗者」となったのだ。

​検量室へ戻る道すがら、武豊は静かに首を振った。

「……とにかく、噛み倒してしまった。能力だけでここまで来たけれど、これ以上は……彼女の『心』とどう向き合うかだ……。」🤐💦

​馬房へ戻ったエール様は、担当厩務員が差し出すタオルを、いつもより弱々しく受け入れた。

その瞳には、かつてないほどの悔しさと、そして「どうして分かってくれないの?」という一抹の孤独が宿っていた。

​『……おほほ。白毛というのは、やはり舞台映えがしますわね。……でも、宜しくて? 私が負けたのは、あの子ではありません。……私自身の、この熱すぎる情熱が、少しだけ先走りしてしまっただけですわ。』💅💧

​そう強がるお嬢様の横顔を、スタッフたちは無言で見つめていた。

彼女は今、自分という巨大すぎる才能に振り回される、孤独な嵐の中にいる。

​こうして、第一章は「敗北」という名の苦い味と共に幕を閉じた。

だが、物語はここからさらに混迷を極めていく。

2021年。お嬢様はさらなる体力をつけ、さらなる「反抗期」へと突入していくのだ。

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