​🌸『カレンブーケドールは、あの日見た雲に恋をする』🌸 第17話

​🌸『カレンブーケドールは、あの日見た雲に恋をする』🌸

​🌸 第17話:『王子、三冠への飛翔 ―テレビ越しの伴走、震える黄金の愛―』 🌸

​2020年10月25日。京都競馬場、第79回菊花賞。

秋の柔らかな陽光が降り注ぐ淀のターフとは裏腹に、トレセン学園の共用ロビーは、爆発寸前の火山のような熱気に包まれていました。☀️🔥

​「……落ち着きなさい、カレン。淑女たるもの、心臓の鼓動をBPM200まで上げるなんて下品だわ。でも……ああ、画面の中の王子様(コントレイル様)が眩しすぎて、私の網膜が黄金色に焼き付いてしまいそうだわ!!🌹✨」

​私は、テレビ画面からわずか30センチという、電磁波を全身で浴びる「至近距離の聖域」を確保していました。手には、この日のために私自らが金粉をぶち撒けて作成した「無敗三冠祈願・特製黄金バナー(※重さ5kg)」。

画面の中では、3000mという過酷な旅路を前に、一頭の漆黒の流星――私の王子様が、神々しいまでの静寂を纏ってゲートを見据えていました。

​「(……王子様。離れていても、この細胞が、この血脈が叫んでいますわ。貴方の血管を流れるのは、あの日図書室の禁断の書で確認した『お父様(ディープ様)』の至高の血。そして、私の体の中でも、今全く同じ旋律がビートを刻んでいる……。さあ、私という魂の半身と共に、歴史の向こう側へ飛び立ちましょう!!)」

(――BGMが、静寂を切り裂く重厚なG1ファンファーレから、神話の幕開けを告げる壮大なシンフォニーへ!) 🎺🎻🌌

ガシャンッ!!💨

​「あああああああああ!! 王子様がっ、王子様が今、天へと踏み出したわぁぁぁぁ!!✨」

​ゲートが開いた瞬間、私の理性はどこか遠い銀河へと吹き飛びました。

私はテレビの前で、無意識に、けれど激しくその場を走り出しました。ロビーの豪華なソファを「淀の坂」に見立て、画面の中の王子様と一分一秒狂わぬシンクロ率で足を動かします。

​「カレン、落ち着け! 画面が見えない! 尻尾を振り回すな、風圧で隣の子が飛んでいくだろ!!🐴💦」

​スタッフさんの必死の制止も、今の私には「愛を讃える天使の合唱」にしか聞こえません。

レースは運命の2周目。淀の3層の坂を越え、4コーナーから直線へ。

ライバルのアリストテレスが、王子様の真後ろに死神のようにピタリと張り付き、逃げ場を奪うようなプレッシャーをかけ続けます。

​「……やめて! 私の王子様にそんなに下卑た距離で近づかないで! その距離にいていいのは、同じ血を分け合い、同じ愛の重さを知る私だけよぉぉぉぉ!!💢🦁」

(――BGMが心臓を鷲掴みにする最高潮へ! 実況の声が、歴史の目撃者として、喉を枯らさんばかりに絶叫する!) 🎙️💥

​「直線、コントレイルだ! 外からコントレイルが来た! 苦しい! 3000mの距離が牙を剥く! しかし、父ディープインパクト以来の無敗の三冠へ、あと100、あと50!! 根性を見せるか、空を飛ぶかコントレイル!!」

​「いっけぇぇぇぇぇぇ!! 王子様ぁぁぁ!! 私の! 私のこの重すぎる愛を羽に変えて、重力なんて振り払ってぇぇ!! 飛んで、飛んで、世界の果てまで飛んでいってぇぇぇぇぇぇ!!✨✈️」

​私はロビーの床を蹄で踏み鳴らし、全力のシャドーカーブを描きながら叫びました。

その瞬間、画面の中の王子様が、最後の一滴の魂を振り絞るようにして、ライバルをクビ差、ねじ伏せました。

ゴール板を駆け抜けた瞬間――史上3頭目、無敗の三冠達成。

​「……あ、…………あ、ああ………………✨」

​崩れ落ちる私。

あまりの感動と、画面越しに「愛の重力波」を全出力で送りすぎたことによるオーバーヒートで、私はロビーの絨毯の上に、大の字になって横たわりました。

涙が、熱い涙が、黄金のまつ毛を濡らして止まりません。淀の空を突き抜けたあの漆黒の残像は、私の魂ごと、天高く連れ去っていったかのようでした。

​「……おめでとうございます、王子様。貴方は……貴方は本当の、全宇宙の王になられたのね……。でも、待っていて。その三冠の重み……次は私が、この命より重い『愛の重圧』で、真正面から受け止めて差し上げますわ……!!😭😭💔」

​喜びと嫉妬、そして「自分もあの場所にいたかった」という猛烈な闘志が入り混じったカオスな感情で悶絶している私の視界に、一人の影が静かに割り込みました。

​「……騒がしいわね、カレン。貴女がバタバタ暴れるせいで、テレビの電源コードが抜けかけたわ。」

クロノジェネシスでした。❄️📺

彼女は、自身の次なる戦い――天皇賞(秋)でレジェンドたちを迎え撃つ準備を整えながら、氷の彫刻のような横顔で画面を見つめていました。

​「……でも、いい走りだったわね。……さて、カレン。王子が『空』を飛んだなら、私たちは『地』を這ってでも、あの黒い背中を掴み取らなきゃいけない。……貴女、その覚悟はあるの?」

​「……ええ。分かっているわよ、クロノさん。王子様が無敗の三冠馬になったということは……次の舞台(ジャパンカップ)で、私はただの『ファン』や『妹分』ではなく、**『三冠馬を最も苦しめる、最も愛の重い刺客』**として立たなきゃいけないってことでしょ!!💢🦁🔥」

​私は立ち上がり、泥まじりの涙を力強く拭いました。

テレビの中では、満身創痍で勝利の咆哮をあげるコントレイル。

それを見つめるカレンブーケドールの瞳には、もはや少女のような憧れではなく、一頭のサラブレッドとしての、狂気にも似た「獲物を狙う獣」の情熱が宿っていました。

​「見ていなさい、王子様……。ジャパンカップの舞台で、私のこの『重すぎる愛』を、その無敗の背中に消えない刻印として刻みつけてあげますわぁぁぁ!!🏁💖🔥」

​三冠達成の歓喜に沸くトレセン学園の片隅で、一人ジャパンカップという名の「心中」への執念を燃やすカレンブーケドール。

いよいよ物語は、世代を超えた三冠馬3頭が激突する、世紀の一戦へと加速していくのでした。🌸✈️💥

コメント

タイトルとURLをコピーしました