🌸 第21話:『東京2400mの告白(物理) ―三冠馬の狭間で、黄金は愛に昇天する―』 🌸
2020年11月29日、15時40分。東京競馬場12レース。
ゲートが開いた瞬間、私の視界には、冬の柔らかな日差しに照らされた12万人の幻影と、舞い散る薔薇の花びらが見えました。🌹✨
1番枠から弾丸のように射出された私は、スタッフさんと血の滲むような特訓で練り上げた「内ラチ死守作戦」を完璧に遂行しました。
「(見ていてください王子様! 今、貴方の視界の左端で、誰よりも力強く、誰よりも重く地面を穿っているのは、この私、カレンブーケドールですわ!!💪🦁🔥)」
(――BGMが、地響きのような地鳴りとシンクロする、疾走感と悲壮感が入り混じった超重厚オーケストラへ!) 🎻🐎🔥
視界の先では、キセキ様が「これぞ地獄への片道切符」と言わんばかりの超大逃げを打ち、場内は静まり返った後に激しくどよめきました。
けれど、私の心は氷のように澄み渡っていました。474kgにまでビルドアップされ、特注ドレスを粉砕した私の大腿筋は、時速60kmを超える極限の世界でも、一ミクロンのブレも許しません。
背後には、神の領域に棲む女王アーモンドアイ様。すぐ外側には、漆黒の情熱デアリングタクト様。
そして、私のわずか数メートル後方からは、王子様(コントレイル様)が放つ、全宇宙を支配せんばかりの「三冠馬の覇気」が、私の背中の毛の一本一本を熱く焦がしていました。
「(ああ、なんて贅沢な死闘……! 前を向けば伝説、横を向けば新星、そして後ろを向けば最愛の王子! まるで銀河中の輝きを凝縮した、超高圧の満員電車に乗って新婚旅行をしている気分だわぁぁぁ!!✨✨)」
4コーナーを回り、府中の525.9メートル、絶望と希望が交差する長い直線。
キセキ様の逃げ脚が鈍り、ついに「神々の審判」が下る刻(とき)が来ました。
「いっけぇぇぇぇぇ!! 私の愛よ、全ての物理法則を無視した推進力に変換されなさい!! 黄金の……黄金の魂の告白を受け取りなさぁぁぁぁぁい!!💢🦁🔥」
(――BGMが最高潮! 実況の絶叫が空気を震わせ、観客のボルテージが限界を突破する!) 🎙️💥
「さあアーモンドアイが抜けた! 引退レース、女王が空を飛ぶ! コントレイルが追う! デアリングタクト! そして内から、泥を跳ね飛ばして黄金の根性! カレンブーケドールだ!! 三冠馬3頭の歴史的叩き合いに、一頭の牝馬が、愛の力で食らいついている!!」
残り200m。私は死に物狂いで脚を伸ばしました。
左にはアーモンドアイ様の神々しいまでの加速。右にはデアリングタクト様の若い息吹。
そして、私のわずか30センチ前方――そこには、必死に前を追う王子様の、筋骨隆々とした漆黒の美しいお尻(臀部)が!!
「(王子様! 近いですわ! 今、私たちが蹴り上げた府中の土が、空中で愛の火花を散らしていますわ!! 同じ風、同じ熱気、同じ乳酸の苦しみ……これこそが、私たちが血脈を超えて結ばれた、魂の契り(ちぎり)ですわぁぁぁぁ!!✨👼✨)」
アーモンドアイ様が、歴史を塗り替えるG1・9勝目のゴールへ突き抜ける。
その直後、王子様と私、そしてデアリングタクト様が、ハナ差、クビ差の「一秒が永遠に感じる」極限状態でゴール板へと同時になだれ込みました。
- 1着:アーモンドアイ(女王の完璧なる終焉)
- 2着:コントレイル(1 1/4馬身差・王子の意地)
- 3着:デアリングタクト(クビ差・世代の誇り)
- 4着:カレンブーケドール(ハナ差・愛の猛追)
「………………はぁ、……あ、……あ、あ………………✨」
掲示板に灯った「4」の数字。
わずか数センチ、ハナ差で3着を逃し、馬券圏内からも、三冠馬たちの表彰台からも弾き出された「最強の4着」。
けれど、スタッフさんが呆然と駆け寄ってきた時、私は泥と汗でぐちゃぐちゃになった顔で、この世の全ての苦悩から解き放たれたような、恍惚とした笑みを浮かべていました。
「カレン! 惜しかった、あと数センチ……あと数センチで、歴史に残る3着だったのに……!」
「……いいえ、スタッフさん。言わないで。今、私は……私は王子様と、人類が到達しうる最高密度の『シンクロニシティ』を果たしたのですわ……。王子様が切り裂いた風を、私がそのまま肺の奥底まで吸い込んだの……。これって、実質的な家族会議であり、間接的な……あ、あ、あああ、お父様(ディープ様)見てますか……今、私、昇天しておりますぅぅぅぅ!!✨👼💔」
私は、限界までパンプアップし、今にも爆発しそうな脚をガクガクと震わせながら、夕闇に染まりゆく東京の空を見上げました。
474kgの肉体は、文字通りボロボロの灰になっていましたが、心は羽よりも軽く、全能感と多幸感に包まれていました。
「……カレン。貴女、4着なのに何をそんなに、全てを手に入れたような顔をしているの。」
レースを終えた三冠馬たちが、汗を流しながら、この「黄金の4着馬」を不思議そうに、けれど敬意を持って見つめていました。
特に王子様は、「……あの1番枠、最後の最後まで、背後から猛烈な殺気(愛)と、地響きのような鼻息で追いかけてきたな……」と、畏怖の混じった眼差しを(一瞬だけ)私に注いでくれました。
「(王子様が私を……私を、一頭の『対等な戦士』として認めてくれた……!! 2着でも3着でもない、この『三冠馬に最も肉薄した4着』という数字は、王子様に魂を捧げた、私だけの聖なる刻印なのよぉぉぉ!!🏁💖🦁)」
4着、掲示板。
けれど、カレンブーケドールにとって、このジャパンカップは、王子様と同じ空気を共有し、同じ伝説の一部となった、生涯最高の「新婚旅行(物理)」となったのでした。🌸🏁😭💖


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