​🌸『カレンブーケドールは、あの日見た雲に恋をする』🌸 第22話

​🌸『カレンブーケドールは、あの日見た雲に恋をする』🌸

​🌸 第22話:『有馬記念、雪の夜の誓い ―頂の景色、黄金の牙を研ぎ澄ませて―』 🌸

​2020年12月27日。中山競馬場、第11レース。

一年の総決算、有馬記念。

ジャパンカップで「神々の合体」を果たし、愛の絶頂を極めたはずの私は、再びこの地上――それも、凍てつく冬風が吹き抜ける、中山の急坂という最も過酷な「現実の檻」の中に立っていました。❄️🏁

​「……ふん、ジャパンカップが甘美なハネムーンなら、この有馬記念は愛の試練。478kgにまでパンプアップさせ、もはやドレスという概念を過去に置き去りにしたこの鋼の肉体! 中山の急坂なんて、私の執念の重圧に比べれば、平坦なレッドカーペットも同然よ!!🌹✨」

​私の体内には、まだあの日の熱が残っていました。王子様(コントレイル様)の後ろ姿を見つめ、三冠馬たちと風を分かち合ったあの全能感。

10番枠。隣には、静かに闘志を燃やすフィエールマン様。そして視線の先、パドックの隅で冷徹なオーラを放つのは……。

上半期の宝塚記念を圧勝し、今や現役最強の座を不動のものにしようとしている、あの「氷の女王」クロノジェネシス

​「(……クロノさん。貴女がこの一年、どれだけ冷徹に、無慈悲に勝利だけを積み上げてきたか、私は知っている。でも、今の私は一味も二味も違うわ。478kgの質量を持った『黄金の執念』が、貴女の氷の牙を根元から溶かして差し上げますわ!!💢🦁🔥)」

(――BGMが、一年の終わりを告げる寂寥感あるイントロから、運命の歯車が軋みながら回転するような、重厚なストリングスとティンパニの連打へ!) 🎻🌪️🥁

ガシャンッ!!💨

​バビット様が先陣を切り、レースは淀みなく進みます。

私は好位、5番手。すぐ後ろにフィエールマン様を従え、クロノちゃんの動向を網膜が焼き付くほどマークする必勝の布陣。

1周目、2周目。中山のトリッキーなコーナーを曲がるたびに、478kgの肉体が遠心力に抗い、芝を深く、深く抉り取ります。

​そして運命の3コーナーから4コーナー。中山の短い、けれど絶望的に急な直線へ向けて、各馬が魂を削りながら動き出しました。

​「……ここよ! ここで王子様に届くはずだった、私のこの、重すぎる末脚を爆発させるのよぉぉぉ!! いけぇぇぇぇ!!💢🦁🔥」

(――BGMが最高潮! 中山のスタンドが、12万人の地鳴りのような叫び(※制限下でも響く心の声)で激しく揺れる!) 🎙️💥

​「さあ直線、クロノジェネシスが外から次元の違う加速! フィエールマンが粘る! 内からカレンブーケドールも、黄金の馬体を震わせて懸命に脚を伸ばす!!」

​しかし。

その時、私の真横を通り過ぎていった「芦毛の閃光」は、ジャパンカップの三冠馬たちとはまた異なる、圧倒的な「個」の破壊力を放っていました。

泥を跳ね飛ばし、中山の急坂を嘲笑うかのような、重戦車の如き推進力。

私と、そして天皇賞馬フィエールマン様さえも一瞬で置き去りにして、クロノちゃんは中山のターフを支配し、己の王国を築き上げていきました。

​「……待って……待ちなさいよクロノさん!! 私の……私の478kgの愛が、まだ……まだ届いていないのよぉぉぉ!!😭💦」

​死に物狂いで脚を伸ばしました。肺が冷たい冬の空気を吸い込み、喉が焼ける。けれど、前方ではクロノちゃんとサラキア様が、ハナ差、クビ差の「神々の生存競争」を繰り広げている。

私は、ワールドプレミア様と完全に重なるようにして、ゴール板を駆け抜けました。

  • 1着:クロノジェネシス(貫禄のグランプリ連覇)
  • 2着:サラキア(クビ差の激走)
  • 3着:フィエールマン(クビ差の意地)
  • 5着:カレンブーケドール(同着・2 1/2馬身差)

​「………………負けた。……完敗だわ、スタッフさん。」

​5着、同着。

掲示板には載った。けれど、勝ち馬クロノジェネシスとの間には、数字や馬身差では説明できない「絶対的な王者の壁」が、冷たく、巨大に横たわっていました。

冬の短い陽光が中山の丘に沈み、冷酷な北風が私の汗を奪っていきます。

レースを終え、呼吸すら乱さぬ(ように見える)鋼の心臓を持つクロノちゃんが、私の横に静かに馬体を寄せました。❄️🐎

​「……カレン。筋肉を増やせば勝てるほど、有馬記念の坂は甘くないわ。……でも。貴女のその『しつこさ』、最後の一歩まで私の背中に熱を浴びせていたわよ。……嫌いじゃないわ、その泥を啜ってでも食らいつく、美しくない執念。」

​「……っ。……クロノさん、貴女ねぇ……! 嫌いじゃないなんて、最大の侮辱だわ……! 次こそは、次こそは必ず、そのスカした芦毛を黄金の愛で塗りつぶしてやるんだからぁぁぁ!!😭😭🔥」

​去っていく、グランプリ女王の背中。

私は、自分の震える脚を見つめました。478kg。重くなったのは肉体だけじゃない。

敗北の悔しさ、三冠馬たちへの狂おしい憧れ、そして「絶対に勝ちたい」という野生の本能。

全てが重なり合って、私の魂はかつてないほど「重く」……そして鋭く研ぎ澄まされていました。

​「(……見ていてください、王子様。そして、クロノさん。2020年のカレンブーケドールはここで終わるけれど、2021年の私は、もっと……もっともっと、誰にも止められないほど『重すぎる女』になって、貴方たちの前に立って差し上げますわ!!✨)」

​帰り道。中山の空から、祝福か、あるいは洗礼か、静かに初雪が舞い始めました。❄️✨

冷たい雪片が私の鼻先を掠めます。

けれど、私の心臓の中には、どんな雪も一瞬で蒸発させてしまうほどの、真っ赤な闘志の炎が、静かに、けれど激しく猛り狂っていました。

​「……来年こそ、私が『真の主人公』として、王子様を……そして世界を、この愛で抱きしめて差し上げますわぁぁぁ!!🏁💖🦁」

​雪の夜の誓い。

黄金の花束は、敗北の泥を最高の肥料に変え、さらなる覚醒の春、そして「2着の向こう側」を目指して、深く深く、根を張るのでした。🌸❄️💪

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