​🌸『カレンブーケドールは、あの日見た雲に恋をする』🌸 第7話

​🌸『カレンブーケドールは、あの日見た雲に恋をする』🌸

🌸 第7話:『学園生活、すれ違いの廊下 ―恋の直滑降、壁ドン(自爆)―』 🌸

​「……ふん! 2着なんて、ただの『1着への長いプロローグ』に過ぎないわ。私の美しさに、ようやく時代と着差が追いついてきたってことよ。……ああっ、でもやっぱり、思い出すだけで蹄(ひづめ)が震えるほど悔しいぃぃ! ダノンキングリー、次こそは私のまつ毛の影に沈めてやるんだからー!!💢🦁」

​デビュー戦の「アタマ差」という呪縛を、持ち前のポジティブ(という名の現実逃避)で上書きしつつ、私は美浦トレセン学園の長い廊下を、ヒールを鳴らして闊歩していました。👠✨

自慢の栗毛は、スタッフさんに「磨きすぎて毛が薄くなるぞ」と呆れられるほど念入りにブラッシングし、太陽の光を反射して黄金色に輝く。今の私は、歩く「最高級ブランド」そのもの!💎✨

​「ふふん、今日の私は一段と輝いてるわ。どこから王子様に見られてもいいように、顎を15度引き、右45度の『奇跡の角度』を維持して……」

​その時でした。

廊下の角を曲がった瞬間、世界から一切の雑音が消え去り、私の鼓膜には自分の激しい鼓動だけが響き渡りました。💓

(――BGMが、コミカルな日常曲から、突然の神々しいパイプオルガンと聖歌隊のコーラスへ) 🔔✨

​廊下の向こう側。逆光の中に、一頭の青鹿毛のウマ娘が浮かび上がっていました。

凛とした立ち姿、重力を感じさせない軽やかな足取り。そして、あの日の千歳の空に見た「飛行機雲」をそのまま瞳の奥に閉じ込めたような、深く、澄み渡った、けれど射抜くような鋭い眼差し。

​「……こ、…………コ、コ、コ…………っ!!(声にならない絶叫)📢💦」

​そこにいたのは、間違いなく私の魂の片割れ(※100%妄想)、コントレイル様でした。👑✨

​「(……ちょ、ちょっと待って! 心の準備が! ゲートが開く前のファンファーレすら鳴ってないわよ! どどど、どうしよう、すれ違うわ、あと10メートル、いや5メートル……!🏃‍♀️💨)」

​心臓が、中山の急坂を全力で駆け上がる時よりも激しく、肋骨を突き破らんばかりに打ち鳴らされます。🥁

母ソラリアに叩き込まれた根性も、国枝先生の訓示も、全てがピンク色の霧の中に消えていく。今、私の全細胞は「目の前の王子に挨拶せよ」という至上命令だけを叫んでいました。

​「(……言うのよ、カレン! 世界で一番可憐で、一番品のある挨拶を! さあ、唇を戦慄かせて! 勇気を出して、ゲートを飛び出しなさい!🚀)」

​コントレイル様が、すぐ横を通り過ぎようとした、その刹那。

私は肺が破れんばかりに空気を吸い込み、限界まで見開いた瞳で王子を見つめ、震える唇を開きました。👄

​「……こ、…………っ…………こんに……ち……っ…………あ、ぱっ…………!!」

​「ん? 何か言った? 👀」

王子様が、止まった。そして、私を……見た。 💘⚡️

​その瞬間、私の脳内のヒューズが音を立てて全壊しました。⚡️💥

至近距離で浴びた、王子の「涼しげな、けれど底知れない力強さを秘めた瞳」。その破壊力は、私のキャパシティを軽くギガバイト単位でオーバー!

あまりの眩しさと衝撃に、脳内の平衡感覚を司るセンサーが完全にログアウトしました。🛰️❌

​「……あ、…………あばばばばっ!! 好き……じゃなくて! 💦」

​挨拶を完遂しようとした慣性エネルギーと、あまりのパニックで制御不能になった私の脚。

本来直進すべき進路を大きく右に逸脱し、私は吸い込まれるように、すぐ横にあったコンクリートの壁に向かって、上がり33.0秒の爆速(※当社比)で突進したのです!🏃‍♀️💥🏢

――ドゴォォォォォンッ!!! 💥🤕

​鈍い衝撃音と共に、壁が震え、私の額から火花が飛び散りました。

「カレン!? 大丈夫か!! お前、何やってるんだー!!💦」

遠くで、同行していたスタッフさんの悲鳴のような絶叫が聞こえる。

​「……あ、………………。☁️🌈」

​視界がゆっくりとセピア色に染まっていく中、私の目の前には可愛いピンク色の小鳥たちが三冠レースの馬番順に舞い踊っていました。🐦🎀

意識が遠のく最後の瞬間、私の瞳に映ったのは、驚きで目を丸くしながらも、心配そうにこちらを覗き込んでくれる……王子の、あの美しい顔。

​「(……あ、……王子様が……こんなに……近くに……。……これ……もう……実質……『壁ドン』……されたも同然……よね……バタッ……。👼✨)」

​私は壁にめり込んだまま、幸せの絶頂に満ちた(端から見れば悲惨な)表情で、ゆっくりと意識を手放しました。

美浦トレセン学園の廊下に、私の名前を呼ぶスタッフさんの絶叫と、王子の困惑した溜息が虚しく響き渡る。🍃

カレンブーケドールの初・接触戦は、物理的な「壁」の厚さを痛感する形で幕を閉じたのでした。🌸🏥💤

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