🌩 第11話 新馬戦──歌姫、世界にツンと挨拶する
初めての競馬場。
ちびディーヴァは馬運車から降りた瞬間、
ツンッ とした視線を周囲に向けた。
その一瞥だけで、
なぜか周囲がざわつく。
「え、あの子……なんか雰囲気ある」
「前髪、完璧じゃない?」
「重馬場なのにサラサラってどういうこと……?」
他の馬たちがキョロキョロしている中、
ディーヴァだけは興味ゼロのツン顔。
完全に“世界より自分の前髪が大事”という態度。
パドックに入ると、
風も湿気も関係なく、
前髪が 完璧に決まる。
スタッフは探るように声をかける。
「今日は……機嫌いい?」
ディーヴァは返事代わりに
ふんっ と鼻を鳴らした。
(※ツンデレ界の「まあまあね」)
🌬 ゲート前──嵐の中心の静けさ
ゲート前に来ると、
ちびディーヴァの耳が少しだけ揺れた。
緊張している。
でも、それを悟られたくない。
スタッフはそっと見守る。
ゲートに入った瞬間──
目つきが変わった。
ツンから、
“走る者の目” へ。
静かで、鋭くて、
嵐の中心だけが静かであるような、あの目。
🌩 スタート──想定外の加速
スタートの音が鳴った瞬間、
ちびディーヴァは 跳ねるように飛び出した。
「速っ!?」
「新馬の加速じゃない!」
「6番人気って誰が決めたの!?」
重馬場なのに、
脚が沈まない。
むしろ風に乗っているようだった。
道中はじっと我慢。
ツンとした顔で、
「別に焦ってないし」と言いたげに控える。
🌪 直線──“嵐の末脚”が世界に届く
そして直線。
吉田隼人がそっと手綱を動かした瞬間──
嵐が走り出した。
11.6 → 11.6 → 11.9
重馬場とは思えない鋭さ。
他の馬たちが必死に追う中、
ディーヴァはツンとした顔のまま、
世界に向かってまっすぐ走った。
そして──
1馬身3/4差で勝利。
🌸 勝った瞬間もツン、褒められるとデレ
ゴール後、
ディーヴァはツンとした顔に戻る。
「別に勝ちたかったわけじゃないし」
と言いたげな目。
スタッフが駆け寄って褒めると──
ふいっ とそっぽを向く。
でも耳がちょっとだけ倒れている。
……照れている。
スタッフ全員、固まる。
「今、デレたよね」
「勝ってデレるって反則じゃない?」
「この子……本物だ」
🌩 嵐の歌姫、世界にデビュー
重馬場でも揺れない前髪。
ツンとした視線。
怒ると速い。
デレると減速。
本気になると風をまとう。
今日、世界は知った。
嵐の歌姫・マスクトディーヴァが
ついに走り出したことを。



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