🌩 第9話 繊細なのに強気、強気なのに繊細
朝の放牧地に、
「ビクッ!」
という小さな反応が響いた。
ちびディーヴァが、
遠くで落ちたバケツの音に驚いたのだ。
スタッフは思わず微笑む。
「繊細だなぁ……」
しかし次の瞬間、
ディーヴァはツンと顔を戻し、
「別に驚いてないし」と言いたげな目つきになる。
スタッフは混乱した。
「繊細なの?強気なの?」
「どっちなの?」
「いや、両方なんだよね……」
他の子が近づいてくると、
ディーヴァはすぐに ツンッ とする。
でも、その耳の角度は
“本当は仲良くしたい” と言っていた。
さらに距離が縮まると──
ふいっ と照れて逃げる。
逃げたあとで振り返り、
「別に怖くないし」
という顔をする。
スタッフはついに記録した。
《ツンデレ確定》
気持ちが揺れると、
走りも揺れる。
- 不安 → よちよち
- ツン → ちょい速い
- 怒り → 加速
- デレ → 減速
完全に“感情ドライバー”で動いている。
しかし──
ひとたび本気になると、
走りは一気に安定し、
風を切るように美しくなる。
そのギャップが、
ますます彼女の魅力を際立たせていた。
ディーヴァ自身も、
自分の気持ちに戸惑っているようだった。
驚くとビクッとするのに、
すぐ強気に戻る。
仲良くしたいのに、
近づかれると照れて逃げる。
その矛盾が、
まるで春の嵐のように
くるくると形を変えていく。
でも、
その嵐は少しずつ、
確かな“芯”を持ち始めていた。
繊細なのに強気。
強気なのに繊細。
そのどちらも、
ディーヴァという歌姫の
大切な一部だった。


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