🌸 風が吹けばディーヴァが走る──マスクトディーヴァ喜劇譚 第14話

🌸 風が吹けばディーヴァが走る──マスクトディーヴァ喜劇譚

🌩 第14話 立ち直りのヒントは“ちょっとのデレ”

忘れな草賞の翌朝。
牧場は静かだった。
……いや、静かすぎた。

ちびディーヴァも、
いつものツンツンが影を潜め、
草を食べながら 小さくため息 をつく。

スタッフはそっと距離を取る。

「今日はそっとしておこう」
「嵐の翌日は静かにしないとね」

そんな空気が自然と生まれていた。

そこへ、
他の馬たちが心配そうに近づいてくる。

「大丈夫?」
「昨日、頑張ってたよ」

ディーヴァは最初、
ツンと顔をそむけた。

……けれど。

その優しさに触れた瞬間、
耳が ちょこん と倒れた。

デレた。

スタッフがざわつく。

「今デレたよね?」
「いや、完全にデレたよね?」
「落ち込んでるときのデレは破壊力が違う……」

ディーヴァは気づいて、
慌てて耳を戻す。
でも、赤い。
完全に照れている。


🌬 走りの練習──少しずつ戻る心

その日の軽い運動。
最初は気持ちが重そうだった。

歩幅も小さく、
耳も揺れて、
昨日の悔しさがまだ残っている。

でも、
少しずつ、少しずつ、
走りが戻っていく。

小さな成功が積み重なるたびに、
ディーヴァの目つきが変わる。

ツンとした強さが戻ってくる。

「……あ、いつもの目だ」
スタッフが小さくつぶやく。


🌤 小さな晴れ間──鼻を寄せる歌姫

練習が終わったあと。
ディーヴァがふいにスタッフへ近づき、
そっと 鼻を寄せた。

一瞬、時間が止まる。

「え……」
「今、甘えた……?」
「負けた日の翌日にこれは反則……」

スタッフ全員が感動で固まる。

ディーヴァはすぐにツン顔に戻るけれど、
その仕草は確かに言っていた。

「まだ悔しいけど、もう大丈夫」

嵐のように荒れた心に、
小さな晴れ間が差し込んでいた。

そしてスタッフは気づく。

立ち直りのヒントは、
ほんの少しの“デレ”なんだ。

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