🌸 風が吹けばディーヴァが走る──マスクトディーヴァ喜劇譚 第8話

🌸 風が吹けばディーヴァが走る──マスクトディーヴァ喜劇譚

🌩 第8話 スタッフ会議「今日の嵐はディーヴァの機嫌です」

最近、牧場では妙な噂が広まっていた。

「ディーヴァの機嫌で今日の天気が決まる」

最初に言い出したのはスタッフのひとりだったが、
気づけば全員が半ば本気で信じ始めていた。

朝、ちびディーヴァがツンツンしている日は──
なぜか風が強い。

「今日、耳ツンツンだね」
「じゃあ午後は強風注意だな」
「いや、前髪が揺れてないからまだ大丈夫」

そんな会話が普通に成立してしまう。

逆に、
ちびディーヴァがほんの少しデレている日は、
牧場が妙に静かだった。

「今日、風ないね」
「ディーヴァがデレてるからだよ」
「天気予報より当たるんだけど……」

ついにはスタッフが
“ディーヴァ気象メモ” を取り始めた。

  • 耳の角度:北風
  • 前髪の輝き:晴れ
  • 鼻息の強さ:突風
  • デレ度:無風

ディーヴァ本人はというと、
そんな騒ぎをよそに 知らん顔で草を食べている。

他の子たちも、
いつの間にか“ディーヴァ天気予報”を信じ始めていた。

機嫌が悪い日は、
誰も近づかない。
(怒り声が綺麗すぎて逆に怖い)

機嫌が良い日は、
みんながそっと寄ってくる。
(デレ声が可愛すぎて癒やされる)

そんな日々が続く中、
スタッフのひとりがぽつりと言った。

「……嵐の歌姫、だな」

その言葉が妙にしっくりきて、
あだ名として定着した。

ディーヴァはツンとした顔で否定する。
「そんなの知らないし」
と言いたげな目つき。

でも、
耳がほんの少しだけ倒れている。

……照れている。

スタッフ全員、固まる。

「今、照れたよね」
「嵐の歌姫、気に入ってるのかな」
「いや、絶対気に入ってるでしょ」

こうして、
ディーヴァの嵐のような気性は
“問題”ではなく“魅力”として扱われ始めた。

そして気づけば、
牧場の中心にはいつも
ツンとした前髪の歌姫がいた。

風が吹けば、みんなが彼女を見る。
彼女がデレれば、風が止む。

ディーヴァの存在が、
牧場の空気そのものを変え始めていた。

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