🌸 風が吹けばディーヴァが走る──マスクトディーヴァ喜劇譚 第7話

🌸 風が吹けばディーヴァが走る──マスクトディーヴァ喜劇譚

🌩 第7話 勝負ごっこが本気すぎて誰もついてこれない

朝の放牧地で、他の子たちがのんびり遊んでいた。
そこへ、ちびディーヴァがツンとした顔で登場する。

「追いかけっこしよー」
と言わんばかりに、他の子が軽く走り出す。
最初は本当にただの遊びだった。

ディーヴァもよちよちと後ろをついていく。
耳はツンツン、でも歩幅はまだ子どもらしい。

ところが──
抜かされた瞬間、空気が変わった。

ちびディーヴァの耳がピンッと立ち、
目がキッと鋭くなり、
前髪が朝日にキラッと光る。

次の瞬間──

末脚が炸裂した。

「速っ!?」
「え、遊びだよ!?」
「本気出すとこじゃないよ!?」

他の子たちはぽかんと立ち止まる。
完全に“遊びの範囲外”のスピードだった。

スタッフが慌てて叫ぶ。

「ディーヴァ、ちょっと待って!」
「落ち着いてー!」

……が、止まらない。

むしろ注意された瞬間、
さらに加速した。

「なんで!?」
「注意=加速ってどういうこと!?」
「怒ってる!? 怒ってるから!?」

ディーヴァはツンとした顔で走り続ける。
「怒ってないし!」
と言いたげな目つき。

追いつけない子たちは、
次第に諦め始めた。

「もう無理……」
「遊びじゃなかった……」
「勝負ごっこじゃなくて勝負だった……」

その様子を見て、
ちびディーヴァがふいにスピードを緩めた。

そして、ほんの少しだけ
耳がちょこんと倒れる。

……デレた。

スタッフ全員、固まる。

「今、デレたよね」
「デレた瞬間に減速したよね」
「“デレ=減速”ってメモしとこう」

走り終わった他の子たちはぐったり。
遊びのはずなのに、全員が疲れ果てていた。

ただひとり──
ディーヴァだけは涼しい顔。

前髪は完璧。
呼吸も乱れていない。
耳はツンと立ち、
「別に本気じゃないし」と言いたげ。

スタッフは確信した。

「この子……勝負ごっこでも嵐になるタイプだ」

そして、
誰もが気づき始めていた。

嵐の歌姫の才能は、遊びの中でも隠しきれない。

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