🌸 風が吹けばディーヴァが走る──マスクトディーヴァ喜劇譚 第3話

🌸 風が吹けばディーヴァが走る──マスクトディーヴァ喜劇譚

🌸 第3話 前髪だけ完璧なのはなぜですか?問題

朝の風が少し強く吹いていた。
スタッフの髪は見事に乱れ、厩舎のカーテンもバサバサ揺れている。

しかし──
その中心で、ひとりだけ 前髪が完璧な存在がいた。

マスクトディーヴァ。

風が吹いても、湿気があっても、
彼女の前髪だけは“絶対に乱れない”。

「なんで?」
「いやほんとなんで?」
スタッフはついに真剣に観察を始めた。

ディーヴァはというと、
ツンとした目でこちらを見返すだけ。
その視線が朝日より先に刺さってくる。

そっと手を伸ばして前髪に触れようとすると──

ジトッ……

怒っている。
怒っているのに、怒り方がちょっと可愛い。

横でマスクオフ母さんが
「前髪は触らないでね」
と言わんばかりのオーラを出している。
どうやら母さんも前髪にはノータッチらしい。

スタッフがブラシを持った瞬間、
ちびディーヴァは すっ…… と後退した。

「逃げた!?」
「ブラシ見ただけで!?」

追いかけるスタッフ。
逃げるツンデレ娘。
厩舎に小さな攻防戦が始まる。

その途中、
朝日が差し込んで前髪が キラッ と光った。

「え、今光った?」
「前髪だけ反射率高くない?」
「なんか魔力ある?」

写真を撮ってみると、
なぜか前髪だけ主役になる。
スタッフのスマホには“前髪の奇跡”が量産されていく。

ついには誰かが言い出した。

「前髪係、作る?」
「いや触れないんだから意味ないでしょ」
「観察係なら……」

その横で、
ディーヴァは「やめてよ」と言いたげな目をしていた。

しかし、
「でも前髪ほんと綺麗だよね」
と誰かが褒めた瞬間──

ちびディーヴァの耳が
ちょこん と倒れた。

それは、どう見ても
照れていた。

スタッフ全員、固まる。

「……今、デレたよね」
「いや、前髪褒めただけで?」
「前髪、強すぎない?」

最終的にスタッフは結論を出した。

「前髪は触らない。
ただし、毎日褒める。」

こうして、
ディーヴァの前髪は今日も完璧で、
スタッフの心は今日もざわつくのだった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました