🐎 第17話:【シルクロードS】首がもげても離さない —45度のエトワール— ⛓️📐
2022年1月30日、中京競馬場。冬の冷たい空気さえも、ファンの熱気で白く濁るような午後でした。☁️🌪️
4歳になったメイケイエール様は、その馬体にさらなる気品とパワーを纏い、パドックに降臨しました。
2番人気。ファンの期待は「今日こそは勝ってほしい」という願いと、「でも池添さんは無事に生還できるのか」という、もはや格闘技の試合を見るような緊張感に変わっていました。
背中には、もう覚悟を決めた「猛獣使い」池添謙一。✨
「エール、今日は左回り、中京の長い直線だ。喧嘩するのは分かってる。……でも、最後は、俺と一緒に一番高い場所へ行くぞ」
『……おほほ! 池添様、今日も威勢が良いですわね。宜しくて? 今日は中京の広大なターフ、私という「愛の嵐」を一番特等席で味わせて差し上げますわ! 振り落とされないよう、その細い腕に魂を込めなさいな!』💅💎
15:35。ゲートが開いた瞬間、中京競馬場を揺るがすような大どよめきが沸き起こりました。
――ガシャン!
スタート! ビアンフェが猛烈な勢いでハナを奪い、12.2 – 10.5 – 10.9という電撃のラップを刻みます。🚀🔥
しかし、お嬢様の「爆走エンジン」は、そんなハイペースさえも「遅すぎますわ!」と一蹴するかのように、過去最大級のオーバーヒートを起こしたのです!
3コーナーから4コーナー。
スタンドの観客たちが総立ちになり、悲鳴に近い声を上げました。📢💥
「おい、池添! 首が! 首が変な方向に曲がってるぞ!!」
「エール! 止まれ! いや、行くな!!」
お嬢様は猛烈な勢いでハミを奪い、頭を低く下げて、まるでミサイルのように突進しようとします。
それに対抗する池添は、文字通り「全体重」を手綱に預け、上半身を馬体に対して垂直、いや、それ以上の角度まで後方に反らしました。
その角度、実に45度以上!!📐💥
池添の首は右へ左へと激しく振られ、まるで暴風雨に晒される細い木々のように、あるいは折れる寸前のマストのように、あり得ない角度で固定されていました。
腕の筋肉は引き裂かれんばかりに膨れ上がり、手綱を握る指からは感覚が消えていく。
「……っぐああああ! 離すか! 離してたまるかよ!! お前を勝たせるって……決めたんだ!! お前の情熱を、俺が全部、ゴールまで導いてやる!!」
地獄の苦しみの中、池添は一瞬たりとも手綱を緩めませんでした。
お嬢様と池添の、命を懸けた「綱引き」は直線に向いても続きます。
しかし、その凄まじい反発エネルギーが、池添の神懸かり的な合図によって、直線で一気に「推進力」へと変換されたのです!✨💃
直線、外からシャインガーネットが猛然と追い上げ、内からはナランフレグが鋭く脚を伸ばす!
万事休すかと思われたその時、道中で自分を壊すほど暴れ倒したはずのエール様が、二の脚を爆発させました。
『……あら? まだ離してくださらないのね。……驚きましたわ。そんなに、そんなに私と一緒に「勝利」を掴みたいんですの? ……分かりましたわ。その、泥臭くて美しい「根性」に免じて、最高の結果をプレゼントして差し上げますわ!!』
渾身の力で抜け出したお嬢様が、後続を1馬身ちぎり捨て、1着でゴール板を駆け抜けました!🏁🏆✨
【1着:メイケイエール】 🥇👑
重賞4勝目。
しかし、ゴールした瞬間の池添謙一に、ガッツポーズをする余裕など1ミリも残っていませんでした。
首を右に45度傾けたまま、肩を落とし、肺が焼け付くような荒い息を吐きながら、お嬢様の背中で今にも崩れ落ちそうになっていたのです。😫💦
検量室に戻ってきた池添を、武英智調教師が震える手で出迎えました。
「池添さん! やった! 勝ちましたよ! ……でも、首! 首が曲がったままですよ、大丈夫ですか!?」
池添は、曲がったままの首をバキバキ、ゴリゴリと凄まじい音を立てて鳴らしながら、泥と涙でぐちゃぐちゃの笑顔で答えました。
「……はは、首が本当にもげるかと思いましたよ。……でも、勝ててよかった。アイツ……アイツ、やっぱり世界一のじゃじゃ馬で、世界一強いですよ」
お嬢様は、何事もなかったかのような涼しい顔で池添を見つめ、少しだけ小首をかしげました。💅✨
『……ねぇ池添様。ずっとその不格好な角度で固まっていらっしゃいますけれど、それが人間界で今流行りの「最新のファッション・ポーズ」なんですの? ……少し、滑稽ですわよ? オホホホホ!』
お嬢様の無邪気な毒舌と、池添さんの命を削るような騎乗。
この勝利で、二人は「騎手と馬」という関係を超え、宇宙で唯一無二の**「運命共同体」**へと進化したのです。🐾🔥


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