🌩 第25話 ヴィクトリアマイル──満員の舞台で嵐が歌う
東京競馬場。
スタンドを埋め尽くす大観衆。
そのざわめきが、
ちびディーヴァのツン顔をさらに鋭くしていた。
耳はピンと立ち、
前髪は完璧に整い、
歩くたびに空気が震える。
「今日のディーヴァ……怖いくらい強そう」
「嵐の歌姫、完全に仕上がってる……」
スタッフの声が震える。
🌬 パドック──異常な気迫
パドックに入った瞬間、
空気が変わった。
ディーヴァの歩幅は大きく、
首の角度は鋭く、
視線は一点を射抜くようにまっすぐ。
そして──
モレイラさんとの呼吸が完璧。
まるで
“風と嵐がひとつになった”
かのような調和。
スタッフがざわつく。
「相性良すぎる……」
「これ、もう芸術じゃん……」
🌩 ゲート──静かすぎる集中
ゲート入りは驚くほどスムーズ。
ディーヴァは微動だにせず、
嵐の中心のような静けさをまとっていた。
スタートの反応は鋭い。
跳ねるように飛び出し、
すぐに好位の外へ。
モレイラさんの手綱に完璧に応え、
道中の手応えは抜群。
「これ……ローズSの時の手応えだ」
「いや、それ以上かもしれない」
スタッフの声が震える。
⚡ 直線──嵐の末脚、炸裂
そして直線。
モレイラさんが軽く促した瞬間、
ディーヴァの目が変わった。
「ここだ」
次の瞬間──
嵐の末脚が 炸裂 した。
11.7 → 11.7
鋭い。
速い。
風を切る音が、観客席まで届く。
観客がどよめく。
「来た……!」
「ディーヴァが伸びてくる!」
「嵐の歌姫、東京で歌ってる……!」
フィアスプライドを捉え、
テンハッピーローズに迫る。
あと少し。
あと一歩。
でも──
届かない。
クビ差。
ほんのわずかな差。
🌧 ゴール後──悔しさのツン顔
ゴール後、
ディーヴァはツンとした顔に戻る。
でもそのツンは、
強がりではなく、
悔しさを隠すためのツン。
スタッフがそっと声をかける。
「よく頑張ったよ」
「君は今日も嵐だった」
「胸を張っていい」
ディーヴァはそっぽを向く。
……けれど。
耳が、
ほんの少しだけ倒れた。
デレた。
その一瞬に、
スタッフの胸が熱くなる。
🌩 嵐の歌姫、東京で輝く
勝てなかった。
でも、
嵐のように走り、
嵐のように迫り、
嵐のように観客を震わせた。
その姿に、
スタッフは確信した。
「この子は……本物の歌姫だ」
ヴィクトリアマイルの空は曇りだったけれど、
ディーヴァの走りは
誰よりも眩しく輝いていた。


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