📖 第4話|開けてはならない扉(密室の初目撃)
初夏のやわらかな陽光が、美浦校の広大なレーシングコースと手入れの行き届いた芝生を鮮やかに照らし出す季節……🌿✨☀️
デビュー戦という晴れの舞台を間近に控えた「黄金の王」レオン。この日は、本番レースの緊張感をそのまま持ち込んで行われる、極めて重要な直前スパーリングの当日でした🏃♂️💨✨
手入れの行き届いた極上プレミアム・コンディショニンググラウンドの天然芝。
その青々としたターフを、無駄を削ぎ落とした美しくしなやかなフォームで切り裂いていくレオンの姿は、まさに降り立った至高の芸術そのもの👑✨
圧倒的なスピードと気品あふれる疾走感、芝を蹴立てる力強い足音に、遠くで見守る学園の関係者たちからも息をのむような感嘆の溜息が漏れ聞こえていました。
「素晴らしい……っ! 完璧な仕上がりだぞ、レオン! 今日の大腿四頭筋、特に外側広筋の緊張状態はまさに至高! 収縮する僕の広背筋も歓喜で打ち震えている! 🔥💪✨」
コース脇でストップウォッチを固く握りしめ、胸筋を狂おしいほど隆起させながら熱い視線を送るのは専任トレーナーの本郷剛志💪✨
「……おおおっ! なんという疾走! なんという神々しさなのだ……っ! 😭👏✨」
その隣で、巨大な金色の刺繍ハンカチを目頭に押し当て、滝のような涙を流していたのは藤波宿舎長でした!
「見よ剛志! レオン君のあの美しい足取りは、『宿舎の廊下は静かに歩きなさい』という私からの生活指導を、全身の筋肉で体現してくれている証なのだ……っ! 😭✨」
「待ってください宿舎長! レオンの脚線美は廊下の歩行指導などではなく、大腿直筋と縫工筋が紡ぎ出す至高の力学構造です! 筋肉を生活指導と一緒にしないでいただきたい! 🏋️♂️🔥」
「言わずとも分かっている! つまり『明日からの全寮生朝食メニューに、プロテイン特製バナナシェイクを追加せよ』という深遠な示唆だな……っ!? 拳を掲げよ剛志! ✊🔥✨」
「(……あの、お二人とも? まだ直前の練習走行が終わったばかりでございますのに…… 🌸💦)」
勝手に胸を激しく打たれて大号泣する宿舎長と、胸筋を脈打たせて対抗する剛志。噛み合わない熱量で暴走する大人たちに囲まれ、楓は愛らしく困り顔で冷や汗を拭いながらも、芝の上で息ひとつ乱さず佇むレオンの凛々しい姿に、無邪気に目を輝かせていました🌸✨
(素晴らしい走り……! レオン様は本当に、誰もが目を奪われ、そのまぶしい光に心を奪われてしまう特別なお方…… 🌸✨)
過酷な調整を終えたレオンを可憐な笑顔で労うため、楓は一足先に藤波宿舎の厨房へと戻ることにしたのです☕️
受皿に繊細な磁器のカップを優しく載せ、丁寧に淹れたハーブティーの上品で甘やかな香りが立ち上るトレーを手にして……🌸✨
汗を流し、身なりを整えたレオンが自室へ戻ったであろう時間を見計らい、楓は明るい足取りで彼の部屋へと向かいました。
ですが——重厚なレンガ造りの静まり返った藤波宿舎の廊下に一歩足を踏み入れた瞬間、肌を刺すような空気の冷ややかさが急激に増していくのを、楓は胸の奥のざわめきとともに感じていたのです……🗝️💔
重厚なマホガニーの扉の前へと辿り着いた楓。
「レオン様、本日のスパーリング、本当にお疲れ様でした。お茶をお持ちしましたの ☕️🌸」と声をかけようとした、まさにその時でした。
カチリ……と、不自然に数ミリだけ隙間が開いていた重厚な扉🚪🔒
その僅かな暗い隙間から漏れ聞こえてきたのは、先ほどまでターフの上で見せていた気高き王者とは、あまりにもかけ離れた異様で甘ったるい声だったのです……。
「……ママン……とっても、おいしいでちゅ……👶💕」
「——っ……!? 💦」
楓の息が、喉の奥で冷たく凍りつきました……!
吸い込まれるように、震える瞳で扉の隙間から部屋の中を覗き込んでしまった楓。その視界に飛び込んできたのは、言葉を失うほど恐ろしく、常軌を逸した「密室」の光景だったのです……👀💔
重厚で濃密な薔薇の香りが部屋中に充満する暗がりの中🌹✨
そこには、高級シルクのソファーに深く腰掛け、我が子を抱くように慈愛の笑みを浮かべるお母様——レディラーダの姿がありました👑✨
角部屋の窓は完全に厚手の遮光カーテンで閉ざされ、外のまぶしい陽光も、風のさざめきも一切届かない閉ざされた世界。
そして、そのお母様の膝の上に大きな頭を預け、うっとりとした虚ろな瞳で銀細工の特注哺乳瓶にしがみついているのは、他でもない、先ほど圧巻の走りを披露したばかりのあのレオンだったのです……!🍼👶✨
「ええ、偉いですわ、レオンちゃん。ママンの特注コンディショニングドリンクをたくさん飲んで、ずっとずっと私の可愛い赤ちゃんでいらしてね……🌹✨」
お母様の美しい唇が浮かべるのは、氷のように冷たく、けれど危険なほど甘やかな微笑み。
外界からは絶対的な「黄金の王」として崇められる最高峰のアスリートであるはずの男が、お母様の前で何一つ疑うこともなく「〜でちゅ」と赤ちゃん言葉を漏らし、哺乳瓶から無心でドリンクを吸い上げているという、あまりにも歪で恐ろしい現実……🍼💔
(な……なにを、見てしまっているの……わたくしは……っ!? 💦😭)
指先から血の気がすっと引き、持っていたトレーの上の繊細な磁器カップが、カチカチと小さな悲鳴を立てて激しく震え始めます……!
大声を上げて取り乱すことも、悲鳴を上げて逃げ出すことも許されない、良家のお嬢様としての誇りと格式。
楓は溢れ出そうになる激しい冷や汗と動悸を必死にこらえ、白く細い手で口元を強く覆いながら、ただ絶句してその場に立ち尽くすしかありませんでした……💧💔
開けてはならない扉の向こうに隠されていたのは、剛志トレーナーも、藤波宿舎長も、そして世間の誰もが知り得ない、お母様とレオン二人だけの深く閉じられた絶対領域——。
逃げ場のない狂気と、明かしてはならない恐ろしい秘密を胸に深く突き刺されたまま、楓は膝の震えを抑え、足音を殺して静かにその場を去るのでした……✨👑💖


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